Wine & Liquor地域ごとの特長

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各地域の特長

トレンティーノ・アルト・アディジェ州

トレンティーノ・アルト・アディジェ州

イタリアで最も北に位置するトレンティーノ・アルト・アディジェ州は北のアルト・アディジェ地方(ボルツァーノ自治県でドイツ語圏)と南のトレンティーノ地方(トレント自治県でイタリア語圏)に分かれる。北から南にアディジェ川が流れ、その両側には世界遺産ドロミーティ山塊が連なっている。アディジェ川の両岸の傾斜に植えられたブドウ畑は標高200~1300mと変化に富み、それぞれの標高に適した品種が栽培されるので、品種の数も多い。白ブドウではピノ・ビアンコ、シャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、ミュラー・トゥルガウ、ピノ・グリージョ、ケルナー、シルヴァナー、リースリング、ゲヴルツトラミネル、黒ブドウではスキアーヴァ、ラグライン、マルツェミーノ、テロルデゴが代表的だ。DOCトレントTrentoはシャルドネ主体の瓶内2次発酵スパークリングワインで、「山のワイン」に相応しい鮮やかなアロマ、酸とミネラル分に富んだ味わいを持つ。 料理はオーストリアの影響が大きく、パスタよりもスープがよく食べられる。ベーコン、ハム、玉子などをまぜたパン団子クネーデルKnödel(イタリア語ではカネデルリCanederli)は有名だ。

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州

古代ローマ時代から栄えてきたフリウリ・ヴェネツィア・ジュリアは、イタリア、ドイツ、東欧諸国が交わる文明の十字路だ。昔からブドウ栽培が盛んで、古代ローマ時代に名声高かったプルチヌムPulcinumと呼ばれるワインは現在プロセッコに使われるグレーラGleraの先祖ではないかとされている。 1970年代後半に始まったイタリアワインの近代化の時代、赤ワイン産地として改革の中心になったのはトスカーナとピエモンテだったが、白ワイン産地としての主役を演じたのはフリウリだった。フリウラーノFriulano、リボッラ・ジャッラRibolla Gialla、マルヴァジア・イストリアーナMalvasia Istrianaなどの土着品種でも、シャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、ピノ・グリージョなどの国際品種でも優れたワインが造られる。1990年代後半にオレンジワインを造り始め、世界的ブームを巻き起こしたのはスロヴェニア国境に近いコッリオ・ゴリツィアーノの生産者の一団だった。 フリウリは素朴な農民料理が多いが、トリエステを中心とするヴェネツィア・ジュリアはハプスブルグ帝国支配下にあったこともあり、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパの影響を受けた料理も多い。

ヴェネト州

ヴェネト州

ワインの品質でも、生産量でも他州を圧倒しているのがヴェネト州だ。アマローネAmaroneとプロセッコProseccoが絶好調で、世界市場を席巻している。もともとヴェネト州はワイン生産が盛んで、ヴェローナには大きな瓶詰め業者が集まっている。国際ワイン見本市ヴィーニタリーが開催されるのもヴェローナだ。保守的な気質を反映して、外国品種の導入が少なかった州で、いまでも土着品種を中心とした伝統的なワイン造りが行われている。ソアーヴェSoave、ヴァルポリチェッラValpolicella、バルドリーノBardolino、コネリアーノ・ヴァルドッビアデネConegliano Valdobbiadeneなど著名産地を多く抱えている。住民は生真面目で勤勉な人が多く、ワイン造りも丁寧に行われていて、安心できるものが多い。 ヴェネト州は肉、野菜、魚介類など食材の宝庫で、素朴な農民料理が多いが、優れた食材のおかげで、とても味わい深い。ポレンタ、米、インゲン豆が頻繁に使われ、パスタ料理の種類は多くない。素材の味わいを素直に活かした料理なので、ワインとの相性は抜群だ。グラッパもよく飲まれ、バッサーノ・デル・グラッパBassano del Grappaはグラッパの聖地と考えられている。

ロンバルディア州

ロンバルディア州

イタリア経済の首都ミラノを州都とするロンバルディアは古代ローマの時代からイタリアの歴史において常に重要な役割を演じてきた。工業、商業、金融中心であると同時に農業、食品加工業も盛んである。山岳地帯、丘陵地帯、平野部と変化に富んだ州なので、造られるワインはタイプも個性も多様だ。スイス国境に近い山岳地帯で造られるフレッシュな「山のネッビオーロ」ヴァルテッリーナValtellina、スタイリッシュな味わいで成功を収めている瓶内二次発酵スパークリングワインのフランチャコルタFranciacorta、ピン・ネーロで素晴らしい成果が出るオルトレポ・パヴェーゼOltrepò Pavese、酸とミネラルが際立つ白ワインのルガーナLuganaなど魅力的なワインが数多く造られる。 農村地帯では伝統的な料理の伝統が守られていて、バターをふんだんに使った肉料理が中心だが、湖が多いので淡水魚も食されてきた。流行に敏感なミラノは食でも最先端を走っていて、世界中の料理が流入し、フュージョン料理やクリエイティブな料理も人気がある。

ピエモンテ州

ピエモンテ州

イタリアを代表する高級ワイン産地ピエモンテ。特にネッビオーロで造られるバローロBarolo、バルバレスコBarbaresco、ロエーロRoero、ガッティナーラGattinara、ゲンメGhemmeなどは長期熟成向きの赤ワインとして世界的名声を誇っている。バルベーラBarberaやドルチェットDolcettoによる赤ワインも人気だ。近年は白ワインの躍進も目覚ましく、コルテーゼCorteseで造られる高貴なガーヴィGavi、親しみやすい果実味を持つアルネイスArneis、酸がフレッシュなエルバルーチェErbaluce、パワフルで凝縮したミネラルを感じさせるティモラッソTimrassoなどの白ワインも興味深く、注目を集めている。 アルプスの豊かな雪解け水、多くの河川、水路を利用した農業が古くから盛んで、穀物、野菜、飼料などが栽培されているが、丘陵地帯におけるブドウ栽培も重要だ。カルナローリをはじめとする高級品種米の栽培も盛んだ。 ピエモンテ料理は繊細で、とても美味しい。多様な前菜は何種類も供される。卵入り手打ちパスタ、リゾットも有名だ。ファッソーネ牛は高級牛として知られる。チーズの種類も多く、品質が高い。

ヴァッレ・ダオスタ州

ヴァッレ・ダオスタ州

モンブランなどアルプスの高峰の麓に位置するヴァッレ・ダオスタはイタリアで最も小さな州だ。標高の高さと冷涼な気候を生かして、みずみずしく、フレッシュなワインが造られている。生産量もイタリアで最も少ない産地だが、ワインはとても魅力的だ。他州では見かけない土着品種も興味深い。 古代からイタリアとフランス、スイスをつなぐ交通路として重要な役割を果たしてきた場所で、住民のほとんどは州の真ん中を流れるドーラ・バルテア川沿いに暮らしている。谷間の街道沿いに残る数多くの城は、戦略的に重要な拠点であったことを示している。 基本的に貧しい州だったので、料理も素朴だ。乳製品が豊かで、名産のフォンティーナ・チーズFontinaはあらゆるところに使われている。バターとラードが調理によく使用される。フランス語圏なので、当然フランスの食文化の影響も強い。アルナッドのラードLardo d’ Arnad は有名。カモシカの生ハムやサラミも伝統的食材だ。

リグーリア州

リグーリア州

東西に弓形に細長く延びるリグーリアは東西北三方を山に囲まれ、南には地中海が広がっている。海と山が迫っているので、耕作可能な土地は少なく農業には困難な地であるが、ブドウ栽培家の努力により優れたワインが造られている。土着品種ピガートPigato、ヴェルメンティーノVermentinoで造られる白ワインは柑橘類、ハーブのアロマがフレッシュで、地中海的魅力に満ちている。  リグーリアは古代からイタリアとフランスを結ぶ重要な交通路で、有名なアウレリア街道はローマからリグーリアを通って、フランス、スペインへと延びていた。中世後期にはジェノヴァ共和国がヴェネツィア共和国と地中海貿易の覇権を争うほどに繁栄した。クリストフォロ・コロンボ(コロンブス)はジェノヴァ出身だ。ジェノヴァは重要な港町で、その回りには鋼業、石油化学産業、重工業が発展し、イタリアの高度経済成長を支えた。 リグーリアの料理はとても地中海的で、海の幸と山の幸がバランスよく使われ、香り高く優美なオリーヴオイルを活かしたものが多い。

エミリア・ロマーニャ州

エミリア・ロマーニャ州

目覚ましく生産量を増やしているエミリア・ロマーニャ州。ボローニャの西に広がるエミリア地方では主にランブルスコが造られる。ランブルスコLambruscoはイタリアの家庭で最も飲まれているワインで、近年急速に人気を高めている。様々なタイプがあり、味わいも大きく異なるが、共通しているのは微発泡性のフレッシュな赤ワインであることだ。価格的にもお手頃で、幅広い食事に合うことがランブルスコの魅力で、生産量も大きく増えている。ボローニャの東に広がるロマーニャ地方ではサンジョヴェーゼ、アルバーナ、トレッビアーノといった単一品種ワインが造られる。 ボローニャは美食の都で、エミリア地方は美食の宝庫である。パルマの生ハムProsciutto di Parma、パルミジャーノ・レッジャーノ Parmigiano Reggianoなど世界的に有名な食材が数多くある。バターをたっぷり使った料理も素晴らしく、エミリア・ロマーニャはイタリアで最も豊かな食文化を持つ州とされている。

トスカーナ州

トスカーナ州

イタリアを代表する高級ワイン産地トスカーナ。その美しい田園風景と同じで、ワインも優美な魅力に溢れていて、非常にわかりやすく、誰もがすぐに好きになれるタイプのものが多い。トスカーナを代表する品種であるサンジョヴェーゼは、栽培される土地のテロワールを明確に反映するので、同じサンジョヴェーゼ主体で造られても、キアンティ・クラッシコChianti Classico、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノBrunello di Montalcino、ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチャーノVino Nobile di Montepulciano、モレッリーノ・ディ・スカンサーノMorellino di Scansano、キアンティChiantiは個性が全く異なる。イタリアワイン・ルネッサンスの時代にキアンティ・クラッシコ地区の生産者が生み出した規則に縛られない高級ワインは「スーパータスカン」として持て囃された。ボルドー品種のワインで知られるボルゲリも非常に人気が高い。白ワインではヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノVernaccia di San Gimignan が力強い味わいで、興味深い。 トスカーナの料理は素材の良さを生かしたシンプルな調理法が多い。有名なビステッカ・アッラ・フィオレンティーナがその好例で、キアーナ牛を炭火で焼き、塩で味付けしただけだが、本当に美味しく、サンジョヴェーゼに最高にマッチする。

マルケ州

マルケ州

マルケ州古代ローマの時代から東方への重要な交通路として栄えた。東にはアドリア海の海岸線が173kmにわたり南北に延びている。西にはアペニン山脈が南北に延びている。海と山に挟まれた州で、その間に丘陵が広がっていて、主にそこにブドウ畑がある。ワインは海の温暖な地中海的気候と、アペニン山脈から吹き下ろす冷気の影響を受ける。まさに海と山が作り出すワインである。白ワインのヴェルディッキオVerdicchioが圧倒的な存在感を示している。フルーティーで爽やかなデイリーワインから、長期熟成向きの複雑なワインまで、どのレンジでも素晴らしいワインができる品種だ。モンテプルチャーノにサンジョヴェーゼをブレンドして作られる赤ワインも興味深い。 ウンブリアの料理は海、丘陵、山の食材をうまく組み合わせたもので、基本的には素朴な農民料理が多い。北で隣接するロマーニャ地方、南で隣接するアブルッツォ州の影響を受けている。

ラツィオ州

ラツィオ州

ラツィオの州都ローマは、古代ローマ帝国時代はまさに「世界の中心」で、中世にはローマ・カトリック総本山のある「信仰の中心」であり、今はイタリア共和国の首都であると同時に世界有数の観光都市だ。ローマの東南に広がるカステッリ・ロマーニと呼ばれる丘陵地帯では古代ローマ時代から葡萄栽培、ワイン造りが盛んで、そのほとんどがローマで消費されてきた。DOCフラスカーティーFrascati、DOCマリーノMarinoなど名の知られた呼称も多く、心地よい白ワインが中心である。近年はローマの南にあるフロジノーネ周辺でチェザネーゼ品種を使って造られる赤ワインの評価が高い。 ラツィオの料理、特にローマの料理は世界的に有名で、日本でも知られているものが多い。スパゲッティ・アッラ・カルボナーラSpaghetti alla carbonara、ブカティーニ・アッラマトリチャーナBucatini all’amatricianaなどは今や世界中で食べられているといっても過言ではないだろう。ラツィオの料理は基本的に家庭料理で、豊かな田園で栽培される野菜と、羊などの肉を主体にしたものだ。内臓料理も重要な位置を占めている。

ウンブリア州

ウンブリア州

イタリアの「緑の心臓」と称されるウンブリアは豊かな自然に恵まれ、非常に美しい州だ。イタリア半島では唯一海に面していない州である。聖フランチェスコの町アッシジ、丘の上の美しいペルージャ、凝灰岩の丘の上にある歴史あるオルヴィエートなど、観光名所も多く、清らかな緑には心が洗われる思いがする。 トスカーナと同じくエトルリアの時代から本格的なワイン造りが行われていて、それは古代ローマに引き継がれた。16世紀から長くローマ教皇庁領だったが、1860年にイタリア王国に併合された。主に石灰土壌の丘陵地帯はブドウ栽培に適していて、近年は興味深い土着品種が再評価されている。オルヴィートOrvieto、モンテファルコ・サグランティーノMontefalco Sagrantino、モンテファルコ・ロッソ Montefalco Rosso、トルジャーノTorgianoなどが主な呼称だ。 ウンブリアの料理もトスカーナに似て、素材の良さを生かした素朴なものが多い。オリーヴオイルの品質の高さは特記に値する。ノルチャNorciaのサラミ、生ハムなどは昔から有名だ。

アブルッツォ州

アブルッツォ州

アブルッツォも東のアドリア海と西のアペニン山脈に挟まれた州だ。アドリア海から内陸に入るとすぐに丘陵地帯となり、30-50㎞で山岳地帯となるため、ほとんどのブドウ畑は海と山の両方の影響を受ける。山岳地帯が多いことが特徴だ。温暖な気候と日照に恵まれ、ブドウは比較的簡単に成熟する。DOCモンテプルチャーノ・ダブルッツォMontepulciano d’Abruzzoが代表的ワインで、ほぼ全州で造られる。最近、評価が高まっているのがモンテプルチャーノを使ったロゼワインであるDOCチェラスオーロ・ダブルッツォCerasuolo d’Abruzzoで、食事との相性が抜群だ。 アブルッツォ料理は内陸部の羊飼いの料理が中心だが、海岸部の漁師料理も加わる。地理的に孤立していたがゆえに、独自の食文化が残っていて、とても興味深い。サラミやチーズもよく食べられる。角が立ったスバゲッティであるスパゲッティ・アッラ・キタッラSpaghetti alla Chitarraはアブルッツォを象徴する有名なパスタだ。羊肉を串に刺して炭火で焼いたアッロスティチーニArrosticiniも有名。

モリーゼ州

モリーゼ州

1963年にアブルッツォから分離して誕生した新しい州で、まだ知名度も低い。ヴァッレ・ダオスタに次いで2番目に小さな州で、人口も32万人と少ない。ところがワイン生産量は意外に多く、ヴァッレ・ダオスタ、リグーリア、バジリカータ、カラブリアを超している。西にアペニン山脈、東にアドリア海があり、その間の丘陵地帯で主にブドウ栽培が行われている。ワイン産地としての知名度が低いのは地元でばら売りワインとして消費されるか、他州にバルクワインとして売られてきたからだ。 料理は隣州アブルッツォに似ていて、チーズやサラミがよく食べられる。オリーヴ・オイルの品質が高く、パスタ製造業も盛んだ。あまり知られていないが白トリュフも多く採れる。

カンパーニア州

カンパーニア州

重要都市ナポリを中心とするカンパーニア州は古代ギリシャの植民地マグナ・グラエキアの時代から常に繁栄を続けてきた。古代ローマ時代は「幸運なるカンパーニア」カンパーニア・フェリックスCampania Felixと讃えられるほど恵まれた地で、農作物の素晴らしさでも知られていた。ワインも有名で、古代ローマで最高のワイン産地とされたファレルヌムはカンパーニア州北部にある。温暖な海岸地帯、調和のとれた丘陵地帯、冷涼な山岳地帯と変化に富んだ産地を持つカンパーニア州では多様で、個性的なワインが生まれる。土着品種は数多く、とても魅力的だ。 料理も素晴らしく、今日私たちがイタリア料理と言えば思い浮かべる料理の多くがカンパーニア州のものだ。その代表がピッツァPizzaだが、スパゲッティも有名で、スパゲッティ・アリオ・オリオ・エ・ペペロンチーノ Spaghetti aglio, olio e peperoncino、スパゲッティ・アッレ・ヴォンゴレ Spaghetti alle vongole、スパゲッティ・アッラ・プッタネスカ Spaghetti alla puttanescaなど誰もが知っている料理がここで生まれた。水牛のモッツァレッラMozzarellaは名産品だ。

プーリア州

プーリア州

イタリア半島の東南端に位置するプーリアは南北に長く延びる州だ。東をアドリア海、南西をイオニア海に挟まれ、イタリア半島では珍しく平野部の多い州だ。大農業地帯で、小麦、オリーヴ、野菜、ブドウなどどれもイタリアでトップレベルの生産量を誇る。 古代ギリシャ、ローマの時代からブドウ栽培、ワイン造りが盛んで、19世紀後半からはバルクワインの大供給地として栄えた。今は、優れたテロワールを反映した高品質ワインの生産に取り組んでいる。温かさを感じさせ、どこかやさしい味わいのプーリアのワインはとても魅力的だ。土着品種の宝庫で、その再発見、再評価も進んでいる。 野菜、小麦、豆類、オリーヴなどの食材がどれも素晴らしく、それを素直に生かしたシンプル料理がプーリアの特徴だ。小さな耳の形をしたオレッキエッテOrecchietteはイタリアで最も有名なパスタの一つで、菜の花の一種チーメ・ディ・ラーパCime di rapaのソースが最も有名だ。日本でもブームになっているブッラータBurrataもプーリアの名産だ。

バジリカータ州

バジリカータ州

山岳地帯が多く、交通の便が悪く、地理的に孤立してきたバジリカータは経済的発展が遅れている。古代ギリシャの植民地だった時代からワイン造りはずっと行われてきたが、山が多いので、生産量はヴァッレ・ダオスタ、リグーリアに次いで少ない。州北部にあるヴルトォレ火山の麓で造られるDOCアリアニコ・デル・ヴルトォレAglianico del Vultureが有名であるが、このワイン以外はほとんど知られていない。昔は「イタリアの恥」とまで言われた洞窟住居があるマテーラが2019年のヨーロッパ文化首都に選ばれるなど、固有の文化が再評価されている。 バジリカータの料理は豚、羊、豆類を中心とした素朴なものだ。サルシッチャSalsiccia発祥の地とされている。唐辛子を多用する。イオニア海とティレニア海に少し面しているが、料理は圧倒的に内陸部のものが主体だ。

カラブリア州

カラブリア州

イタリア半島の最南端に位置するカラブリア州は、古代からワインの名声が高く、古代ギリシャ人はカラブリアのイオニア海岸沿いの葡萄畑を讃えて「エノートリア(ワインの大地)」と呼んだと伝えられている。古代オリンピックの勝者に与えられていたクリミサkrimisaというワインは、今日のDOCチーロ(Cirò)の祖先とされている。それほど栄光の歴史を誇るカラブリア・ワインであるが、閉鎖的気質もあり1980年代からのイタリアワイン近代化の波にはやや乗り遅れた。ただ、2000年頃からは急速に栽培、醸造を近代化し、産地が持つ本来の力を発揮しつつある。 カラブリア料理は素朴な農民料理ではあるが、メリハリの利いた味わいのものだ。イタリアでは珍しく辛い料理が多い。その代表である唐辛子を多く使った辛いサラミであるンドゥイヤ'Ndujaはパンに塗って食べられる。

シチリア州

シチリア州

地中海最大の島であるシチリア島は「大きな島」というより「小さな大陸」だと言われる。それほど多様なテロワールが存在しているワイン産地なのである。古代ギリシャの時代から優れたワイン産地として認められていたシチリアだが、1980年ぐらいまではバルクワインを大量に供給する産地としての地位に甘んじていた。1990年前後から意欲的に品質向上に取り組む生産者が出てきて、1990年代半ばからシチリアワイン・ブームを巻き起こした。土着品種の豊かさは特筆に値する。DOCエトナEtnaは世界的ブームとなっている。まだまだ発展する可能性を秘めた楽しみな産地である。 シチリア料理はこの島を支配した様々な民族、文明から受けた影響を複雑に組み合わせたもので、奥が深い。アラブの影響は特に強く、お菓子もかなり甘いもので、筒状の揚げた生地に、砂糖を入れたリコッタと柑橘類の皮の砂糖漬けを添えたカンノーリCannoli、スポンジケーキにリコッタ、アーモンドペースト、ドライフルーツを重ねた非常に甘いカッサータ・シチリアーナCassata sicilianaなどは、日本でもよく知られている。

サルデーニャ州

サルデーニャ州

サルデーニャは、地中海でシチリアに次いで2番目に大きな島だが、ワイン生産量はシチリアの7分の1でしかない。ただ、ワインは個性的で、興味深いものが多い。閉鎖的気質を持つサルデーニャ人は1970年代末から恥じめったイタリアワイン・ルネッサンスと呼ばれる近代化に懐疑的で、独自の道を歩み続けた。そのため一時的に「バスに乗り遅れた」と揶揄されたこともあったが、行き過ぎた近代化や国際品種導入に害されることなく、独自のワイン文化を守ることができた。全州で造られるヴェルメンティーノ、カンノナウは成功を収めている。島の南西端で造られるDOCカリニャーノ・デル・スルチスCarignano del Sulcisは甘いタンニンを持つ濃厚な赤ワインだ。 羊飼い料理、農民料理が基本だが、島の独自性を完璧に保持していて、他州とは全く異なる食文化を誇る。

メンドーサ州(アルゼンチン)

メンドーサ州(アルゼンチン)

アルゼンチンのメンドーサ州はアンデス山脈の東側に広がる広大な州で、世界10大ワイン首都の1つに認められ、2016年には世界最優秀ソムリエコンクールが開催された産地です。典型的な大陸性気候で、降水量が非常に少ない乾燥した気候と標高の高さ、日照時間の長さなどから、マルベック種の赤やトロンテス種の白を中心に良質なワインを生み出しています。