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プーリア州
アドリア海、イオニア海という2つの海に挟まれたプーリアは南北300キロを超える細長い州で、そのテロワールは変化に富んでいる。古代ギリシャの植民地マグナ・グラエキアとして栄え、古代ローマの時代には東洋への門戸としての重要な役割を果たす。有名なアッピア街道がローマからブリンディジまで通っていた。西ローマ帝国崩壊後は、様々な民族に支配され、東ローマ帝国、ノルマン支配を経て、ナポリ王国の一部となった。美しい海、自然が残っていて、バカンス地としても高い人気を誇る。いかにも南部らしい非常にのんびりとしたところである。
平野が53.5%とイタリア半島にしては非常に多く、山岳は1.4%とイタリアで最も少ない。有名な世界遺産カステル・デル・モンテがあるムルジェ石灰岩台地は葡萄栽培に適している。典型的な地中海性気候で、夏は暑く乾燥していて、冬は温暖だ。雨は秋と冬に集中しているのだが、近年は温暖化の影響で夏の終わりに嵐に襲われることが増えた。
南に突き出しているサレント半島は赤茶色をした粘土の多い土壌だ。赤ワインは力強く、アルコール度数が高く、力強い。昔はアルコールが弱い北のワインを補強するためにバルクワインとして売られていた。DOCサリチェ・サレンティーノ、DOCスクインツァーノSquinzano、DOCコペルティーノCopertinoなどのネグロアマーロを主体にした赤ワインが有名だ。ネグロアマーロを使ったフルーティーなロゼワインも人気があり、イタリア中に配給されている。
イオニア海に近いマンドゥリア周辺ではDOCプリミティーヴォ・ディ・マンドゥリアPrimitivo di Manduriaが造られる。プリミティーヴォは早熟な品種で、アルコール度数が破格に高く、濃厚な果実味を持つ赤ワインを生む。カリフォルニアのジンファンデルと同じ品種であることが分かっている。タンニンがやや厳格で、数年熟成させた方がいいネグロアマーロとは対照的で、プリミティーヴォは濃厚であるにも関わらずすぐに楽しめる。陰干ししていないにもかかわらずアマローネを想起させるような味わいがあり、国際市場で大人気だ。プリミティーヴォの人気があまりに高いので、サレント半島では他の品種からプリミティーヴォへの植え替えが進んでいる。プリミティーヴォによる甘口ワインであるプリミティーヴォ・ディ・マンドゥリア・ドルチェ・ナトゥラーレ Primitivo di Manduria Dolce Naturaleは2011年にDOCGに昇格している。
興味深い土着品種がススマニエッロだ。生産量が少ないため絶滅寸前だったが、再評価が進んでいる。サレント半島の赤ワインにしては重すぎず、優美な味わいで、ロゼワインにしても美味しい。
おなじプリミティーヴォでも中央のバーリ県にある丘陵地帯で造られるDOCジョイア・デル・コッレGioia del Colleは、マンドゥリアのものと比べると、ややアルコールが低く、より優美で、こちらを好む消費者も多い。
石灰台地のムルジェで造られるDOCカステル・デル・モンテCastel del Monteはエレガントなワインだ。白はパンパヌート、赤とロゼはネーロ・ディ・トロイアが中心だが、標高300-600mで造られるため、南のワインには珍しい涼しげなトーンがあり、フード・フレンドリーで飲みやすい。
プーリアの料理は食材の素晴らしさを生かしたものが多い。Macco di fave e cicoria マッコ・ディ・ファーヴェ・エ・チコリアはプーリアらしい一皿。乾燥空豆を煮て、ピュレにして、チコリアという春菊に似た野菜を添えたもの。オリーヴオイルをたっぷりとかけて食べる。
羊や山羊もよく食される。魚介類も豊富で、昔から生魚を食べる習慣があるイタリアでは珍しい地方だ。
おすすめワイン
プリミティーヴォ・ジョイア・デル・コッレ
格付: ジョイア・デル・コッレ DOC
Agnello al Forno
仔羊のロースト。シンプルに塩とニンニク・ローズマリーだけの味付け。素材本来の旨味、味わいを活かした料理。仔羊のジューシーな味わいと、赤身の旨味、ニンニクのフレーバーとローズマリーのフレーバーの4重奏となって、ワインとコンビネーションします。ワインの持つ豊かで甘やかなフレーバー、心地良い酸味、おたやかなタンニンが美味しい余韻を創ります。
Carne di cavallo alla pignata
馬肉のピニャータ煮込み。馬肉の塊を、ニンニク、タマネギ、香草を束ねたブーケガルニ、トマト、唐辛子、粒コショウとともにじっくり煮込み、一口大に切り分けて煮汁とともに。馬肉の豊かなフレーバーと、唐辛子、スパイスの複雑な香りと味わいが、ワインの持つヴォリューミーなフレーバーとボディが受け止めます。ぎゅっと詰まったお肉の旨味を、ワインのタンニンや質感、骨格が受け止め、穏やかな酸味で、風味豊かな余韻を創ります。
手羽中の甘辛ダレ
醤油・ニンニクだれしっかりの手羽中の甘辛ダレ。ワインの甘やかなフレーバーとニンニク醬油がマッチング、鶏のジューシーな油分と、程よいタンニンが結合し鶏の身のほぐれ感と、ワインのストラクチャーが心地良い。ワインの酸味で口中を爽やかにし、どんどん食べたくなるペアリング。包み込み型ペアリング。
香港式炸醤麺
香港式のジャージャー麺。豚ひき肉、タケノコ、シイタケなどを炒めて、黄醤(豆味噌)や甜面醤を加えたものを麺にのせていただく。 スパイシーなお肉のジューシーなニュアンスにワインのスパイシーなフレーバーが同調し、上品なタンニンが、包み込む。甜面醤の甘やかでコクがある味わいに、ワインの甘やかなニュアンスと、上品な酸味が加わり、心地良いフィニッシュを迎えます。タッグ型ペアリング。
シシカバブ
シシカバブ(またはシシケバブ)とは、トルコなど中近東で食べられている定番の羊肉料理。シシは「串」、カバブは「肉」を意味します。スパイスやヨーグルトで下味をしっかりつけて、表面をこんがりと焼き上げます。 お料理の複雑なスパイシーフレーバーと、ワインの持つ甘やかで、スパイシーなトーンが風味同調して、羊肉の質感と食感、咀嚼感が、ワインの持つタンニンとテクスチャーと、ミネラルのニュアンスと渾然一体となってフィニッシュに向かいます。ヨーグルト由来の柔らかい酸味と、ワインの上質な酸が、口中を豊かにしてくれます。タッグ型ペアリング。
チリコンカン
豆とスパイシーな味付けが特徴のメキシコ発祥のチリコンカン。ワインの持つ、甘やかなフレーバーとスパイシーなトーンが融合し、まるでカレーにチャッツネのように香りも味わいも豊かな物に。ワインの程よい酸味と、チリコンカンのトマトが持つ爽やかな酸味が同調し、口中が甘やかな印象に。タッグ型ペアリング。
おすすめワイン
ロマニコ
格付: カステル・デル・モンテDOC
Orecchiette con le brasciole
ご存じ、オレッキエッテ。こちらはブラショーレ(プロシュット、パセリ、ペコリーノを薄くたたきのばした仔牛肉で巻き、トマトとハーブで煮込んだもの。インヴォルティーノの一種。)とともに。最後にペコリーノを削る。全てが渾然一体となって、食べ始めたら止まらないペアリング。パスタのモチモチ感、ブラショーレのトマトの酸味、肉感のジューシーさ、ハーブの複雑味、ペコリーノのクリーミーさ、そこにワインの持つ、複雑なフレーバーとエレガントな酸味、上質なタンニン、芯のしっかりとしたミネラルが全体を包み込み、官能的なフィニッシュを創る。
Gnummarieddhi
ニュンマリェッディ。羊またはヤギの内臓を細かく切り、塩、コショウ、パセリ、ペコリーノ、ラルドとともに網脂(腹膜のひだ)で包み、腸を巻きつけて、炭火で串焼きにしたもの。お肉独特のフレーバーと炭火の香ばしいフレーバーが充実した野性的な風味を創り、そこにワインのほのかにスモーキーなフレーバーが同調します。脂質分のニュアンンスが、ワインのもつパウダリーなタンニンと結合し、そこにワインの心地良い酸味が加わることで、口中がさっぱりとした余韻が創られます。
ブリ照り
ワインの甘やかなフレーバーとみりん&砂糖の甘やかなニュアンスが同調。お出汁のアミノ酸と、ワインのミネラル感が同調。横に広がる酸味のニュアンスが後味をさっぱりとさせ、べた付かない。ブリ照り、ブリの皮面の油分がジューシーで、ワインのタンニンが受け止める、ブリの血合の深み、タンニンが受け止める、身の質感とワインのスムースな質感が同調、醤油とみりん、砂糖の照り感が、ワインの甘やかさとなめらかな口当たりが同調し、最後に心地良い酸味で全体を引き締める。同調型ペアリング。
スラッピージョ
アメリカを代表するお料理、牛ひき肉、玉ねぎ、チーズのブリトー。牛のコクが程よいタンニンをキャッチし、チーズの塩味と深みが、ワインの質感と骨格と同調し、メイラード由来の玉ねぎの甘やかさが、ワインの穏やかな酸味と伴になり、フィニッシュまで口中を心地良く流してくれます。下支え型ペアリング。
梅香黒醋猪肉
やまゆり豚と旬野菜の炒め 梅肉黒酢ソース。とろけるような味わいの脂肪とやわらかくジューシーな肉質が自慢の、神奈川生まれのブランドポーク。脂身の苦手な方にも人気。上品な豚の旨味とワインのフレーバーとミネラルが受け止め、ふくよかなものにする。黒酢とワインの酸が同調豚肉のジューシーな脂を、パウダリーなタンニンが受け止め、口中を綺麗にしてくれる。包み込み型ペアリング。
ギュロス(ギロス)
ギュロス(ギロス)はギリシャの定番山羊肉料理。ギュロスで最も目にする事が多いタイプは薄切り肉を重ね横から火を当てて焼きそ切りにしたトルコのドネルケバブと同じようなイメージです。各種の野菜やザジキ(にんにくきゅうりヨーグルト)、フライドポテトなどをピタ(薄い円形パン)でくるんで楽しみます。お料理のスパイシーな味付けと山羊肉の独特のフレーバーが重厚な味わいをつくり、そこにザジキにクリーミーで爽やか酸っぱいニュアンスが広がる。ワインの程よいタンニンと質感、骨格が山羊肉のニュアンス、スパイシーなニュアンスをマスキングし、ワインの酸味と爽やかなヨーグルトの酸味で引き締めます。同調型ペアリング。
ペアリング提案
第13回JETCUP優勝
おすすめワイン
ピエトライア
格付: カステル・デル・モンテDOC
ブッラータ
プーリア州の名産チーズのブッラータはお手軽かつ、このピエトライアと好相性です。ブッラータのクリーミーさを優しく広げ、後半からはこのワインが持つ酸味やほろ苦さが優しく引き締めてくれる。ブッラータだけでも良いが上質のオリーブオイルとアンチョビを添えるとさらに良い。もちろんトマトを添えてもOK。このワインを食前酒としてスタートし、前菜にブッラータは素晴らしいペアリングです。また、カプレーゼ、ブッロ エ アチューゲやスカモルツァのソテーも良く合う。
ペッシェ アッラ マリナーラ
シンプルな魚の煮込み料理。鍋にミニトマト、イタリアンパセリ、ニンニク、塩、コショウ、オリーブオイルを入れ一煮立ちさせたところへお頭付きの白身魚を入れ蓋をして火を通し、そこにトーストを添える。トマトソースで作る場合もあるがこのワインには「イン ビアンコ」と呼ばれる白く仕上げる事が重要。お魚の旨味とオリーブオイルがワインの酸味やミネラル感と良く呼応し、食が進む。スープに浸したトーストも良く合う。アクアパッツァや沖縄料理のマース煮もおすすめ。
鶏肉の水炊き
南イタリアの白ワインですが非常に洗練されたワインなので和食とも相性が良い。日本酒の吟醸酒を合わせるイメージ。鶏肉が持つナッツの様な風味とワインが持つアーモンドの様な風味、そして、ポン酢の柑橘系の爽やかな味わいとワインのオレンジピールの香りが調和する。水炊きの温度が高めなのでワインの温度もやや高めの12℃くらいがおすすめ。またお刺身との相性も良く真鯛、キハダマグロ、特にメジマグロ(本マグロの幼魚)との相性は群を抜く。お醤油の代わりにコラトゥーラとオリーブオイルを合わせたソースで食べるお刺身も楽しい。
フライ
ビックリするぐらいフライとの相性は秀逸。是非ともフライにこのワインを合わせていただきたい。油を吸ったパン粉との相性が良くお野菜からお肉まで幅広く合わせる事ができる。とくにアジ、イワシ、鳥のささみチーズが良い。南イタリアの白ワインでありながら綺麗で豊富な酸味がフライの油っぽさを洗い流し、同時に青魚の風味も優しく中和する。味付けは塩とレモンも良いがウスターソースの方が味に深みがでる。さらにマヨネーズをつけた方がワインとの繋がりを深める。
カキのアヒージョ
元来プーリア州は赤ワインとロゼワインの産地として有名で白ワインの生産が盛んになったのは近代醸造(ステンレスタンクの導入など)の発達と昨今の白ワインブームの影響が大きい。貝料理のバラエティーが豊富な州ですがトマトソースを使ったものが多く、白ワインでは負けてしまう。そこでアヒージョ。もはや誰もが知っているワインのお供であろう。ニンニクとトウガラシの風味のオイルをまとったカキをワインの果実味とミネラル感が上手にまとめてくれます。軽くレモンを絞っても良し。もちろんムール貝でも美味しい。
海老と帆立貝と季節野菜の炒め物
中国料理というとまず紹興酒を思い浮かべるがこのピエトライアのようにクリーンでフレッシュな酸味と苦味を伴う白ワインも相性が良い。中国料理の炒め物に使用するスープ、生姜、ニンニク、ネギ油、ごま油等をしっかりと受け止め、さっぱりとさせてくれる。海老、帆立貝、季節野菜(アスパラ、パプリカ等)はそれほど自己主張が強くない素材なので味付けに合わせるイメージです。そのため醤油、オイスターソース、甜麺醤などの調味料を沢山使用した炒め物には少し注意が必要。他にも八宝菜や鶏肉とカシューナッツの炒め物などもおすすめ。
ペアリング提案
第11回JETCUP優勝
ジョイア・デル・コッレ DOC
カステル・デル・モンテ DOC
2021年の収獲状況は植物検疫の観点からみると素晴らしかったですが、
生産量が若干減り、―5-7%下回りました。
冬は雹や暴風、嵐がブドウ畑にまばらで被害を超しました。夏は干ばつと高温が長く続きました。
雨量不足でブドウの熟度が遅れ、収獲が10日間遅れてしまいました。
全体的に、収穫量が下回りましたが、品質が良く、たまに素晴らしいです。
La vendemmia 2021 in Puglia segna una qualità straordinaria dal punto di vista fitosanitario, con un lieve calo produttivo del 5-7%.
Episodi di grandine, raffiche di vento e nubifragi, hanno colpito i vigneti a macchia di leopardo durante l’inverno. Durante l’estate si è registrata una persistente siccità ed elevata temperatura.
La vendemmia è iniziata con circa 10 giorni di ritardo per la mancanza di pioggia che ha rallentato la maturazione dell’uva.
In generale, si registrano rese inferiori ma di buona qualità, a tratti ottime.