
各種ワインの製造工程スパークリングワイン
ひと言に「スパークリングワイン」といっても、製法もガス圧もそして味わいも様々な
スパークリングワインが世界中に存在します。
現にイタリア国内だけでも異なる製法のスパークリングワインが存在しています。
色は白、赤、ロゼがあり、幅広い甘味のレベル、そして、風味も新鮮でフルーティーなものから
トーストやナッツのようなものまで多様なスタイルがあります。
このようなスパークリングワインのスタイル、品質、そして、価格の違いは、製法の違いと深い関係があります。
では、その関係性を探っていきましょう!
各種ワインの製造工程
- 赤ワイン
- 白ワイン
- ロゼ
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スパークリングワイン
- スパークリングワインとは?
- スパークリングワインのスタイル
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スパークリングワインの代表的な製法
- 伝統的方式
- トランスファー方式
- タンク方式
- アスティ方式
- アンセストラル方式
- 炭酸ガス注入方式
スパークリングワインとは?
スパークリングワインは、一般的に3気圧以上のガス圧を持った発泡性ワインの総称です。
ブドウが発酵する際、ブドウの糖分に酵母が反応して、アルコールと二酸化炭素が発生します。通常は容器外へ逃げてしまう二酸化炭素の漏出を防ぐため、密閉した容器で発酵を行い、ワインの中に炭酸を閉じ込めます。このようにして出来上がったワインがスパークリングワインです。意図的に発泡性ワインにするにあたり、発酵は安定した炭酸を確保するために、2回に分けて行われます。一次発酵ではベースとなるワインを造り、二次発酵を密閉容器内で行い、炭酸を確保します。また、2回目の発酵はせずに、単にベースワインに炭酸ガスを注入する方法もあります。
発泡性のワインの種類はさまざま。ガス気圧が1~2.5気圧のワインは弱発泡性ワインと呼ばれます。1気圧未満の場合は微発泡ワインと言われスパークリングワインには分類されず、イタリアでは「フリッツァンテ」と呼ばれます。ちなみに、トレンティーノ・アルト・アディジェ州のフェッラーリ社が造るスプマンテやフランスのシャンパンに代表される伝統的方式で造られたスパークリングワインのガス圧は5~6気圧にも達します。
スパークリングワインのスタイル
色は白、赤、ロゼがあり、幅広い甘味のレベル、そして、風味も新鮮でフルーティーなものからトーストやナッツのようなものまで多様なスタイルのスパークリングワインがあります。
スパークリングワインを造るための理想的なブドウは…
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1
非発泡性ワインに使われるブドウに比べて、糖度が比較的低いこと。
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2
高い酸度を有していること。
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3
青臭い草の特徴を感じさせることがないように十分に熟していること。
これらのブドウは、製法を変えることによってスタイルの違うスパークリングワインに仕上がります。
スパークリングワインの製法
ブドウが収穫され、ワイナリーに運ばれたら、できるだけ早く圧搾しなければなりません。タンニンと色素の抽出が最小限に抑えられるよう、圧搾は穏やかに行われます。こちらの写真にあるように、一次発酵はだいたいステンレスタンクで行われます。そして、ブレンドまではアスティ方式とアンセストラル方式、炭酸ガス注入方式以外は同じ工程です。
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STEP1
収穫
手摘み 機械 -
STEP2
除梗・圧搾
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STEP3
果汁
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STEP4
一次発酵
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STEP5
ベースワイン&
ブレンド
伝統的方式
伝統的方式は、トラディショナル方式とも呼ばれ、いわゆるフランス・シャンパーニュ地方で造られるシャンパンの造り方です。イタリア語では、メトド・クラッシコ(Metodo Classico)、メトド・シャンプノワーズ(Metodo Champenoise)と呼ばれています。二次発酵を瓶内で行う、「瓶内二次発酵」をさせて造るスパークリングワインの製法です。瓶内二次発酵とは、瓶内の酵母が糖を分解し、アルコールと炭酸ガスが発生、約2ヶ月間かけてゆっくりとワインを緩やかに二次発酵させ、ワイン独自の香りがより複雑になり、普通のワインから独自の泡を持つワインに仕上げる製法です。イタリアでは、トレントDOCやフランチャコルタがイタリアにおけるメトド・クラッシコの代表選手ですが、今ではイタリア各地で土着品種を使ったメトド・クラッシコが造られています。

Imbottigliamento di vino base
ブレンドしたベースワインを瓶詰め

Liquore di tiratura
リクール・ドゥ・ティラージュ
ワインやマスト、砂糖、培養酵母、酵母の栄養分、清澄剤のミックスされたものを添加

Presa di spuma in bottiglia
瓶内での二次発酵

Affinamento/Maturazione sulle fecce
ワインを澱と接触させて保存

Scuotimento
動瓶

Sboccatura
澱抜き
動瓶が完了したら、逆さになった瓶のネックを超低温の塩水につけ、ネック部分のワインを凍結させます。そして、王冠型キャップの栓を取り除くと、溶け込んでいた炭酸ガスの圧力によって、澱の入ったワインの氷塊がプラスティック製カップと一緒に押し出されます。

Dosaggio
リクール・デクスペディシオン
ワインや糖分、RCGM(精留濃縮マスト)のミックスされたものを添加

Tappatura
コルク打栓

Metodo Classico
伝統的方式スパークリングワイン
伝統的方式で造られたワイン
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Giulio Ferrari Riserva del Fondatore
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Giulio Ferrari Rosé Riserva del Fondatore
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Ferrari Riserva Lunelli
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Ferrari Perle Millesime
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Ferrari Perlé Zero
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Ferrari Perle Bianco Riserva
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Ferrari Perle Rose Riserva
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Ferrari Perle Nero Riserva Gift Box
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Ferrari Maximum Blanc de Blancs
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Ferrari Maximum Rose
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FERRARI "HOMMAGE"
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Ferrari Brut
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Ferrari Rose
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Ferarri Demi Sec
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FERRARI Celebration Bottle F1® Podium (3000ml)
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FERRARI F1® Limited Edition “SUZUKA”
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Ferrari Brut F1® edition
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LEONIA POMINO BRUT
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DUBL FALANGHINA
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Planeta Brut Metodo Classico
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Conte Federico Riserva Brut Millesimato
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Metodo Classico "Nebole'" Extra Brut
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Millesimato Soldati La Scolca Brut
トランスファー方式
トランスファー方式は、伝統的方式の応用編で、動瓶と澱抜きという費用のかさむ複雑な工程を省くものです。トランスファー方式の工程は動瓶の前までは伝統式方式と同じですが、その後、瓶内のワインを加圧状態ですべて密閉タンクにあけて澱抜きを行います。タンク内のワインは濾過されて酵母の澱が取り除かれ、リクール・デクスペディシオンが添加されて、新しいボトルに再び瓶詰めされます。この製法は伝統的方式よりもコストを抑えて良質のスパークリングワインを造ることができ、大量のワインが一度に処理されるため、品質とスタイルの一貫性を保つことができます。トランスファー方式で造られたワインは、ラベルに”bottle-fermented”と記載されることが多く、対して伝統的方式は、 “metodo classico”“ traditional method” “méthode traditionelle”と記載されます。

Imbottigliamento di vino base
ブレンドしたベースワインを瓶詰め

Liquore di tiratura
リクール・ドゥ・ティラージュ
ワインやマスト、砂糖、培養酵母、酵母の栄養分、清澄剤のミックスされたものを添加

Presa di spuma in bottiglia
瓶内での二次発酵

Affinamento/Maturazione sulle fecce
ワインを澱と接触させて保存

Travaso e Svinatura
ワインをタンクに移し替え、澱抜き
瓶内のワインを加圧状態ですべて密閉タンクに移し、澱引きを行います。

Dosaggio
リクール・デクスペディシオン
ワインや糖分、RCGM(精留濃縮マスト)のミックスされたものを添加

Imbottigliamento e Tappatura
瓶詰めと打栓

Metodo Transfer
トランスファー方式のスパークリングワイン
アンセストラル方式
この製法では、一次発酵の際にワインの糖分を残した状態にしておき、アルコールの発酵途中のワインを瓶に詰めて、瓶内で発酵の続きを行うことで発泡させます。発酵の段階で、酵母は死滅し、澱となって瓶内に沈殿します。この澱を残すか取り出すかは生産者の選択ですが、だいたいは澱を残したままにし、これがアンセストラル方式のワインのスタイルになります。
アルコール度は伝統的方式よりも低くなります。補糖せず、ブドウ本来の糖分だけで発酵が続いて炭酸ガスを発生させるため、アロマが豊かになります。
イタリアでのアンセストラル方式スパークリングワインで代表的なのは、プロセッコ・コル・フォンド(Prosecco col fondo)です。通常のプロセッコと違い、澱引きをしていないので、少し濁った外観で、旨味のある味わいが特長です。50年ほど前までは、主流だった製法です。

糖分を残したベースワインを発酵途中で瓶詰め

アルコールの発酵途中のワインを瓶詰め

Presa di spuma in bottiglia
瓶内での二次発酵

Affinamento/Maturazione sulle fecce
ワインを澱と接触させて保存

Metodo Ancestrale/Col Fondo
アンセストラル方式のスパークリングワイン
タンク方式
伝統的方式とトランスファー方式はどちらも、パンやトーストの風味を持つワインを造ることができるのに対し、タンク方式では、ベースワインの風味を保持したスパークリングワインが生産できます。イタリア語では、メトド・マルティノッティ(Metodo Martinotti)やメトド・シャルマ(Metodo Charmat)と呼ばれます。
世界的には、シャルマと呼ばれるほうが一般的ですが、イタリアではマルティノッティと呼ぶところも少なくありません。なぜならば、このマルティノッティ方式は、1895年ピエモンテ州アスティ県の醸造者フェデリコ・マルティノッティにより発明されたからです。その15年後、マルティノッティと一緒に働いていた、醸造家でありエンジニアのフランス人ユージーン・シャルマが、二次発酵に使われるタンクを設計し特許を取得したため、シャルマの名の方が世界的に有名になったのかもしれません。タンク方式は、プロセッコ(Prosecco)のようにフルーティなスタイルのスパークリングワインを造る場合や、マスカット種やリースリング種といった風味の強い品種を使ってスパークリングを作る際に理想的です。
タンク方式は、瓶内で二次発酵させる製法よりも低コストで、速く、少ない労働力でスパークリングワインが造れるので、人気のある製造方法です。一次発酵は、ブドウが持つ純粋な果実と花の風味を保つことができるように、温度調節されたステンレスタンクで行われます。通常、マロラクティック発酵やオークを使った熟成処理は施されません。リクール・ド・ティラージュがワインに加えられ、炭酸ガスがワインに溶け込む時の圧力に耐えられる密閉タンクで二次発酵が行われます。それから、濾過をして酵母を取り除き、圧力下で瓶詰めします。

Liquore di tiratura
リクール・ドゥ・ティラージュ
ワインやマスト、砂糖、培養酵母、酵母の栄養分、清澄剤のミックスされたものを添加

Presa di spuma in autoclave
タンク内での二次発酵

Filtrazione
濾過

Imbottigliamento
瓶詰め

Metodo Martinotti/Metodo Charmat
タンク方式のスパークリングワイン
タンク方式で造られたワイン
アスティ方式
この製法は主に、イタリア・ピエモンテ州のアスティ地区で甘口発泡性ワインを造る際に用いられます。
甘口でフルーティなスパークリングワインができますが、伝統的方式やタンク方式と違うところは、発酵を一回しか行わないことです。
果汁は冷やして、必要になるまで保存しておき、使うタイミングで果汁を温めて、加圧されたタンクで発酵を行います。最初は炭酸ガスを逃すようにしておき、発酵途中でタンクを密閉し、炭酸ガスを中に閉じ込めます。そのまま発酵させて、アルコール度数が7%程度、圧力が5-6気圧になったところで、ワインを冷やして早めに発酵を止めます。その後、圧力下で濾過して酵母を取り除き、瓶詰めされます。

Uve
ブドウ

Pigiatura/Clarificazione
ブドウの圧搾と果汁の清澄

果汁

果汁を冷却

果汁の保存

部分的な発酵

Raffreddazione
冷却

Filtrazione
濾過

Imbottigliamento
瓶詰め

Metodo Asti
アスティ方式のスパークリングワイン
炭酸ガス注入方式
非発泡性ワインに炭酸ガスが注入され、圧力下で瓶詰めされる製法です。ベースワインの風味が残るフルーティなスパークリングワインを生産する便利な方法です。ソーヴィニヨン・ブラン種のように、品種特有の強い風味を持つブドウから造るスパークリングワインに使われることが多いです。あらゆる生産方法の中で、最もコストのかからない製法です。

Vino base
ブレンドしたベースワイン
ワインやマスト、砂糖、培養酵母、酵母の栄養分、清澄剤のミックスされたもの

Carbonatazione
炭酸ガスの注入

Imbottigliamento
瓶詰め

Spumante
炭酸ガス注入方式のスパークリングワイン