各種ワインの製造工程白ワイン
白ワインの味わいは、香り高くすっきりとしたのみくちが心地よい白ワインから、
こっくりとしたまろやかなものまであります。違いの秘密は醸造方法に大きく関係しています。
ここでは、白ワインの醸造についてお話します。
各種ワインの製造工程
- 赤ワイン
-
白ワイン
- 白ワインとは?
- 白ワインの基本的な製法
- ロゼ
- スパークリングワイン
- スパークリングワインとは?
- スパークリングワインのスタイル
- スパークリングワインの代表的な製法
白ワインとは?
白ワインは、主に、白ブドウから造られるワインですが、黒ブドウから造られる白ワインもあります。
フレッシュでフルーティーなブドウ本来の味わいが楽しめるタイプと、木樽や澱との接触によって醸し出される深みのあるタイプのものといろいろです。
白ワインの基本的な製法
それでは、収穫から瓶詰めまでの辛口白ワインの基本的な醸造フローをご紹介しましょう。
STEP 01 収穫 (Vendemmia)
イタリアを始め北半球では、8月~10月に行われます。伝統的には9月から始まっていた収穫ですが、地球温暖化により毎年収穫時期は早まっています。
また、収穫時期や方法は、品種の特性や生産者の望むワインのスタイルやタイプによって異なります。手摘みや機械での収穫になります。
STEP 02 選果 (Selezione delle uve)
ワイナリーに運ばれてきたブドウは、人の手、または機械によって選果されます。
ダメージを受けた果実は排除し、健康な果実のみを使用します。
STEP 03 除梗・破砕 (Diraspatura/Pigiatura)
房から果梗を取り除きます。機械収穫の場合は、果梗はついておらず、手摘みの場合も多くの生産者は、除梗します。破砕とは、ブドウ果汁を出すために果皮を破ることで、
このときに出るのが、フリーラン果汁と呼ばれる果汁です。
除梗破砕は、ほとんどが機械で同時に行われます。
STEP 04 スキンコンタクト (Contatto con le bucce)
ブドウは破砕されて、フリーラン果汁が別に集められ、残ったブドウの固形物は圧搾機に送られます。 酸化のリスクを減らすために、ブドウ果汁を果皮と接触させることはほとんどありませんが、アロマティック品種は、風味とテクスチャーを強めるために、果汁と果皮を低温で短時間接触させる生産者もいます。この場合、発酵が妨げられる程度の低温で一般に数時間だけ行われます。
STEP 05 圧搾 (Pressatura)
マセレーション終了後、フリーランワインを抜き取って果皮と分離させます。残りを圧搾してプレスワインを造ります。
STEP 06 清澄化 (Chiarificazione)
圧搾したてのブドウ果汁には果皮や果肉の細胞片が含まれています。何の処理もしない状態で果汁を発酵させると、不快な香りが発生することがあり、発酵が早い時期に止まってしまうことがあります。よって、発酵が始まる前に果汁の清澄化を行う必要があります。
STEP 07 アルコール発酵 (Fermentazione alcolica)
酵母の働きにより、糖がアルコールと二酸化炭素に転化することをアルコール発酵といいます。このプロセスで他の副産物として熱と風味成分が生じます。アルコール発酵は5℃未満の温度では開始せず、一般的に、糖分をすべて使いきるまで発酵が続きます。白ワインの発酵温度は、一般的に12~22℃です。発酵温度が低すぎると洋梨のキャンディーのようなアロマがついてしまい、品種特有の果実風味を表現できないことがあり、逆に高めだとより複雑で果実風味のしないアロマの発達を促すことはできますが、品種そのものの果実風味の特長が失われるリスクもあります。
発酵容器も様々ですが、一般的なのは温度管理装置が設置されたステンレスタンクです。小樽で発酵させることもあります。樽による発酵温度の管理はそれほど簡単ではありませんが、サイズが小さいことと、通常低温の醸造室に保管されるため、小型の樽からは効果的に放熱されます。この場合の発酵温度は、適温範囲の上限に近い温度で行われるのが普通です。
STEP 08 澱引き (Svinatura)
熟成中に、酵母や果肉片が底に沈殿する為、上澄みを移し変えます。
STEP 09 マロラクティック発酵 ( Fermentazione malolattica)
アルコール発酵が終わると一般的に乳酸菌の働きによってマロラクティック発酵が起こります。乳酸菌は、ブドウに含まれている舌を刺すようなリンゴ酸をよりまろやかな乳酸に転化します。マロラクティック発酵は酸味を減少させて口当たりをまろやかにするほか、バターのような風味をもたらし、炭酸ガスを生じさせます。
マロラクティック発酵は全ての白ワインに施されるわけではありません。マロラクティック発酵がもたらすバターのようなアロマは、品種の特長であるアロマを隠してしまう可能性があるので、通常、ソーヴィニヨン・ブランやリースリングなどのアロマティック品種には用いられないオプションです。
STEP 10 ブレンド (Blend/ Miscela)
ブレンドは、ワインの一貫性を高めて、バランスを向上させ、一定のスタイルを生み出す助けになります。多くの白ワインは、純粋な果実風味が基本であるため、一貫性を保つためにブレンドが行われます。また、アロマティック品種ではないブドウ品種には、より複雑味を出すことを目的としたブレンドが行われます。
STEP 11 熟成 (Maturazione/Affinamento)
発酵後の熟成にはいくつかのオプションがあり、それは生産者により選択されます。
香り高さが特長のアロマティック品種は、ブドウ由来の香りを残すために嫌気的な容器(ステンレスタンクなど)で熟成されることが大半です。アロマティック品種には、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングの他、モスカート、ゲヴュルツトラミネール、トロンテスなどの品種があります。
ワインにトースト風味などの複雑味を与えるためには、オーク樽が使用されます。
また、細かい澱とともに熟成をすることにより、ワインにより風味とテクスチャーを与えることが可能となります。
STEP 12 清澄化と安定化 (Chiarificazione e Stabilizzazione)
透明度と安定性を高めるために、大半の白ワインは、清澄化処理や濾過処理が施されます。白ワインは赤ワインよりも色が淡いため、濁りや沈殿物がはっきりと見えやすく、残留糖分をいくらか含む白ワインでは微生物の感染によるリスクがあるため、無菌濾過が行われます。
その後、ワインは安定されます。
STEP 13 瓶詰め (Imbottigliamento)
最後に瓶詰めをし、栓をしたあと、ラベルを貼り完成です。
出荷前に瓶内で熟成をするワインも多くあります。